2017年に提出し、A判定で合格したリポートです。
合格の目安にしてください。論の展開の参考にもなると思います。
設題、テキスト・参考文献はリポートに入っています。
- ほぼ同じ内容にしたり、写して提出されないようにしてください!!
佛教大学はリポートの剽窃には厳しい処置を下します。
教員を目指す方にとって社会人としても許されない行為です。
Z1109 生徒指導・進路指導の研究(中・高)リポート
設題1
中学・高校における生徒指導の原理および意義は何か、また、その際に留意しなければならないことは何か、生徒指導の具体例を示しながら説明してください。
本レポートでは、まず生徒指導とは何かに触れ、その原理、意義を述べる。次に生徒の問題行動の例を挙げ、その生徒指導を具体的に示し、留意するべき点を述べる。
生徒指導は、学校教育の全般にわたって、「すべての生徒のそれぞれの人格のよき発達を目指すとともに、学校生活が、生徒一人一人にとっても、また学級や学年、さらに学校全体といった様々な集団にとっても、有意義にかつ興味深く、充実したものになるよう」(『生徒指導の手引き』)指導する営みとされている。このことから生徒指導とは、教科指導と並ぶ重要な教育機能をもつ活動といわれる。
次に生徒指導の原理を述べる。1965年に発行された文部省(現文部科学省)の『生徒指導の手引き』に原理が4点あげられている。①自己指導の助成のための方法原理、②集団指導の方法原理、③援助・指導の仕方関する原理、④組織・運営の原理である。
①自己指導の助成のための方法原理においては、自発性・自立性・自主性の促進があげられる。欲求や情緒を直接行動につなげる自発性、目的に沿って行動を規制する自律性、人間関係において相互に権利の主張と義務の遂行を可能にする自主性である。
②集団指導の方法原理においては、学級や友人関係といった集団における相互作用の尊重、集団の力の利用、人間の尊重、友愛・自由の尊重、規律の維持などがある。集団に対する所属感や、成員同士の連帯感を高め、相互に理解し尊敬できる環境をつくることがよい結果を生む。
③援助、指導の仕方に関する原理においては、特に問題解決能力を育てる援助の重要性があげられる。また指導にあたり、賞罰を用いる場合は細心の注意が必要である。さらに、生徒の人格のより良い発達のためには主観的資料だけでなく、客観的資料の利用が必要である。
④組織・運営の原理においては、全教師の参加と専門職の分化の必要性があげられる。生徒指導は全生徒を対象として、学校生活の全領域に関わるものであるから、全教師が協力して取り組むべきである。また責任を分化することも指導の効果をあげることにつながる。
次に生徒指導の意義について述べる。生徒指導の意義には以下の5つがある。①生徒指導は、個別的かつ発達的な教育を基礎とするものである、②生徒指導は、一人ひとりの生徒の人格の価値を尊重し、個性の伸長を図りながら、同時に社会的資質や行動を高めようとするものである、③生徒指導は生徒の現在の生活に即しながら、具体的、実際的活動として進められるべきである、④生徒指導は、すべての生徒を対象とするものである、⑤生徒指導は、総合的な活動である。
①については、学校における多くの活動が集団で行われるが、すべての生徒に同一に指導がされるのではない。個々の生徒がもつ素質や能力など、また生まれ育った環境などを考慮する必要がある。つまり、生徒一人一人の特性を把握し、それぞれのより良い発達を目的としているのである。
②個人の人格の発達を目指すが、生徒それぞれが個別に存在しているだけではなく、よりよい社会生活を営む上では集団が重要となる。個人としての良さを発揮しながら他者と協調し、より良い集団や社会を築く社会性の発達も目指している。
③では、生徒指導が学校内のみの教育活動ではないことを示している。自己実現できる資質や態度の育成も、将来子どもが社会のより良い成員となることを念頭にすすめなければならないといえる。
④は、生徒指導はある特定の生徒に対する教育活動でなないということを示す。問題を抱えている生徒に対してはより多くの指導や援助が必要になるが、あくまで生徒指導はすべての生徒を対象とし、それぞれの発達や向上をめざしているのである。
⑤では、生徒指導が他の活動と区別された個別の活動ではないことを指摘している。生徒指導の目的は生徒の人格の発達を目指すことから、その活動は総合的なものであるといえる。つまり、生徒が社会活動を営める人間としての資質を向上するための諸活動の一部分であり、それらの教育活動はつながりをもつものである。
生徒指導の今日的な意義としては、生徒に「生きる力」を身に付ける取り組みであることがいえる。中央教育審議会答申では、著しい経済成長や急速な交通・情報網の整備といった社会の変貌、生活における「ゆとり」の喪失、家庭や地域社会における教育力の弱体化、社会の変動による環境・エネルギー・食糧問題など様々な問題を挙げている。よりよい社会を構築するには、自律的学習能力、豊かな人間性などの「生きる力」が重要であるとしている。「生きる力」身に付ける取り組みとして、生徒指導の役割はさらに大きくなるといえるだろう。
次に、生徒の問題の例を挙げ、生徒指導を具体的に述べる。例として、生徒の不登校を扱う。テキストQ18、19、21、92を参考に述べていく。
不登校の原因がいじめや暴力行為の被害者として明確な場合については、まずその原因を取り除く必要がある。学級内の生徒同士で、担任指導の範囲で解決できなければ、学年主任、生徒指導主任、教頭、学校長に連絡し、同時に協力を得て、加害と被害の事実関係を確認する。被害者対する保護を徹底する。登校できるようになった際は、登下校、休憩時間に報復が起こりやすいため注意が必要である。担当教員や、生徒指導担当教員で一定期間保護を行う。必要な場合は加害生徒に対して登校停止を命じる。内容が成人の場合犯罪に相当する場合においては、警察少年係と連携を密にして指導を深めることもある。同時に、保護者に対して学年集会などを開き、情報を正確に伝え理解と協力を求める。心理的な相談が必要な場合はカウンセラーや医師の判断を求める。
上記以外の不登校原因は、生徒に心の居場所がない場合が多い。教師は積極的に生徒に働きかける必要がある。教師は基礎的なカウンセリング技法を学ぶと同時に、学級集団に生徒が溶け込めるように援助する必要がある。このような学校忌避は、体育大会や文化祭など行事をきっかけに起こることが多いのでその際注意が必要である。教師は生徒に個別に援助する必要がある。
中学や高校時代は、体の成長と心の発達がアンバランスになる時期である。特に担任教師は、学級の生徒の行動には常に注意している必要がある。短時間HRで生徒の表情をよくみること、生徒との雑談などでHRの微妙な変化をつかむことが必要である。そうすることで、不登校、問題行動が起こるのを未然に防ぎ、解決を早めることにつながるだろう。また、「親しく話せる先生がいる」「先生から話しかけられることが多い」ということは友達関係が良好なことが第一であるが、学校生活を楽しく感じることに大きく影響を与える。(参考文献②より)「話しやすい」生徒、クラス内で「地位」が高いと感じている生徒と親密さを演出することは生徒集団全体を把握するには有効であるが、「話しやすい」生徒に偏ることは疎外される生徒を生むことになるので注意が必要である。
1992年学校不適応対策調査研究協力会議から、不登校問題あたりに「心の居場所」という言葉が使われるようになった。「不登校はどのような子どもにも起こりうる」というパラダイムが提示され、「学級や学校が自己の存在を実感でき、精神的に安心できる場所=心の居場所」になるための教育的対応が必要と提起された。その後、「保健室登校」の意義や生徒と教師とのカウンセリング・マインドが求められ、学校での心の居場所の確立が求められている。
その一方で、中央教育審議会は学校だけの対応に固執しない、「開かれた学校」重要性も提起している。家庭や関連施設との連携の中に不登校の対応の指針を示している。信頼できる仲間や支援者との出会いは自分の居場所を発見し、自立を促す契機となっている。生徒指導の基礎となる人間観として「生徒の自己実現を助け、人間性の最上の発達を目的とする」とある。学校以外で効果があるのであれば、それも考慮に入れ、幅広い視野で生徒の心に寄り添い指導することが重要となる。
参考文献
①「これからの教師と学校のための教科外教育の理論と実践のQ&A」(2002)
教育問題研究会 編 ミネルヴァ書房
②「『若者の気分』学校の『空気』」(2011)
本田由紀著 岩波書店
終わりに
AbsolutVision / Pixabay
この科目はリポートについて、シラバスに詳しく留意点が書かれていました。
「生徒指導の具体例を挙げ、それがテキストのどの立場に相当するかを記してください」ということで、後半はテキストの参考個所を詳しく挙げて記述しています。
どうでしょうか?
A判定です。意外に簡単な文章ではないでしょうか( ´艸`)
リポートは参考例として数点載せますが、「これを見せてほしい!」というリクエストにはお答えできません。
最後までお読みいただきありがとうございました!
佛教大学通信教育課程 リポートの書き方
佛教大学通信教育課程課程本科を2019年3月に終了しました。何が一番しんどかったって・・・・リポートでした。試験は持ち込み不可で会場受験でした。覚えるのが大変で試験もしんどいですが私はリポートの方が辛かったです。一応大学を出ているので、なんとか書けると思いましたが・・・甘かったです。始めに出した2科目、リポートで不可をくらいました(;'∀')とりあえず出せば通る!ということはないです・・・残念ながら。その後はなんとか一度も落とさずに済みました。ちなみに7割がAで、2.5割がB、2科目Cでした。私にとっては満足な評価です( ´艸`)佛教大学はリポート講習会が開催されていますが、日が合わず、行けずじまいで。私の合格した体験をもとにリポートのコツを披露したいと思います。是非参考にして、どんどん進めてくださいね。
リポートを書くポイント
リポートとは
そもそもリポートはどういうもの?というところから間違える人もいるようです。
リポートは感想文ではありません。
リポートとは問いに対する主張(考え)を、客観的根拠に基づいて論じていくものです。
引用:佛大通信2019年1月号 P10「リポート書き方学習会4」より
テキストや、参考文献を適切に引用、提示し、「このため、こう考えられる」と言ったように論じていきます。
文章は引用なのか、引用ならばどこから引用しているのか、主張は自分と他者のどちらものなのか明確にする必要があります。
引用を多くしたら手抜きな気がしますが、余程多くなければ大丈夫です。むしろ引用や、参考文献は大いに必要です。
題意を読み取る
題意をしっかりと把握し、すべてに答えるようにします。例えば・・・
教育原論1設題「ソクラテスの教育観に注意して彼の教育学的意義について述べよ」引用:佛教大学通信教育課程2018年度シラバスより
私はだらだらとソクラテスについてやソクラテスの産婆術のことを記述していて、教育学的意義を書いていませんでした(ありえない(;'∀')なんとなくまとまっていても、題意を把握できていないといけません。3200文字を超えてしまい、ついうっかり大事なことを書き忘れて提出してしまうことがあるかもしれません。気を付けてくださいね。
科目の概要・学習の要点に沿うようにする
シラバスを熟読します。
「科目の概要」「学習の要点」「リポート学習の注意点」「リポート添削・評価の基準及び留意点」をしっかり読んでください。「科目の概要」「学習の要点」では、担当の先生が学んで欲しいと考えていることが書いています。持論を展開するにも、あまりかけ離れない方がいいと思います。「リポート学習の注意点」「添削・評価の基準及び留意点」には、リポートの体裁が具体的に書かれていることがあります。例えば・・・
生徒指導・進路指導の研究(中高)
「リポート作成に当たって、テキストのどの部分を用いて学習を進めたかを簡単に記入してください。また、文末に参考とした文献を必ず明記すること。」「400字詰めリポート用紙では最低8ページ目に入ること。入らない場合は不合格とする。」引用:佛教大学通信教育課程2018年度シラバスより
とありました。しっかり読んでいないと、素晴らしい論理が展開されていても不合格や低い評価になってしまいます。
序論・本論・結論?
シラバスを熟読し、題意を把握して、教科書の必要部分を読み込む。ポイントに付箋を貼り、メモしながら読んでいきます。でもなかなか書き出せないと思います。書き方をネットで色々読んだのですが、序論・本論・結論が必要とのこと。序論。書き出すのが難しかったです。どう初めていいのか・・・( ノД`)私は、序論でどうリポートが展開するかを説明することにしました。それで通ったので、ほぼすべてこのスタイルにしました。序論はいつも短く簡潔にしていました。例えば・・・
教育方法学1(中・高)設題「従来の知識伝達を重視した授業の設計と評価に対して主体的な学習を基本とする授業について設計と評価の特徴を比較し、その比較の毎にまとめて授業設計ならびに評価についての留意点を述べよ。」
引用:佛教大学通信教育課程2018年度シラバスより
のリポートでは
本リポートでは、まず現在に求められている学力について述べる。次にそれを獲得するための授業設計・評価について述べる。従来の知識伝達を重視した授業、主体的な学習を基本とした授業の双方の視点から比較していく。最後に私見を交えてまとめる。
このように書き出しました!だいたい同じ体裁です( ´艸`)序論では、リポートはこういう流れで書きますよ、という説明になっています。本論で、テキストの引用や、内容提示をして理解したことを述べていきます。そこを多くとって、結論では、まとめとそれに対して考えた意見を述べました。
自分の意見は少しで大丈夫でした。
まとめ
リポートを書くポイントをまとめます。
シラバスを熟読し、学習の要点、リポートの形式を確認する。題意を正確に読み取る。教科の先生が学んで欲しいと考えていることと主張がかけ離れないようにする。序論は、リポートの展開の簡潔な説明でよい。自分の意見は少なくても大丈夫。引用、参考を明確に表す。自分の言葉と他者の言葉とをはっきりさせる。
簡潔にいうと通信教育のリポートは
題意に沿い、学習内容を理解していることが伝わるようにテキストをまとめ、少し意見を述べる。
こんな感じです!
卒論ではありませんし、画期的な主張をする必要はないと思います。内容を理解していることを示して、リポートの体裁を守っていれば大丈夫です。
書けそうな気がしてきましたか?
とにかく書き出しましょう。絶望のスタートでしたが、3本ほど提出したら、リズムが出てきます!
最後まで読了ありがとうございました!参考例を載せた記事もどうぞ↓
佛教大学通信教育課程 リポート 参考例 日本漢文入門 設題1
2018年に提出し、A判定で合格したリポートです。合格の目安にしてください。論の展開の参考にもなると思います。設題、テキスト・参考文献はリポートに入っています。
ほぼ同じ内容にしたり、写して提出されないようにしてください!!佛教大学はリポートの剽窃には厳しい処置を下します。教員を目指す方にとって社会人としても許されない行為です。
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M6108 日本漢文入門 リポート設題1
設題1日本文学における「漢文」の特長を概説せよ。
本リポートではまず、日本における「漢文」の定義を述べる。次に、日本人がどのように漢文を学習し、そこからどのように日本独自の文字表記を形成していったのかについて述べる。次に漢文と日本文の違いを挙げ訓読する方法を説明する。最後に日本文学における「漢文」の特長をまとめる。 日本における「漢文」とはどういう意味だろうか。古代の漢民族において発達し、現代まで伝承されている漢字による文字言語およびそれが書かれた言語作品。漢文は朝鮮、日本、安南まで広がり使用され言語作品が作成された。日本には、古く大陸からの渡来者がもたらしたが、次第に外国語である中国語に返り点、送り仮名をつけて日本語文語文に翻訳しながら読む訓読法が発達し固定化された。 『ブリタニカ国際大百科事典 小項目辞典』より
1 中国古来の文語体の文章を日本でいう称。2 日本人が1に倣って書いた文章。3 中国の漢の時代の文章。 『デジタル大辞泉』より
これらによると、「漢文」とは、中国では漢の時代の文章ということである。日本における意味は、中国古代文語体で書かれた文章であり、その体裁で書かれていれば中国以外で書かれたものも含む。日本では訓点を付して訓読法で日本語の古文の形に訳して読む。つまり、原文をそのまま提示し、訓点により語順を入れ替え、助詞や活用をつけて、原文に即して日本語読みするのである。外国語であるのに、中国語の発音を用いずにそのまま日本語読みをする。訓読法は日本独特の翻訳方法である。 漢文が伝来し、日本人は漢文・漢字を学びながら、独自にそれを取り入れて変化させて日本語文の表記方法を確立した。そのなりたちの経緯を述べる。主にテキストの『古文と漢文』P21~26を参考にしてまとめる。 古墳時代に入っても、日本には文字はなかった。琉球語や日本語はあったが文字に表される語はなかった。日本人が文字で言語を表すことを知るのは四世紀末か五世紀初である。中国の江南地方から入った漢字で「呉音」という字音が初めて知る文字の発音であった。雄略天皇が史を置き、韓人に記録を始めさせたと伝承されている。五世紀末から七世紀の初めにかけて記録を担当した者たちは、できるだけ漢文に近い文体で記録をしようとした。担当した者たちは百済系の帰化人が多かったと考えられている。しかし、記録は百済ではなく、倭国のことである。倭国の人名、地名の表記に頭を悩ませ、漢字に音訳することを思いつく。中国ではインドの経典を漢字に音訳した例があった。 仏陀 budda 阿修羅 asura など。その方法をみた倭人は、他の日本語も漢字に音訳できるのではないかと考えた。漢文学習の傍ら、和歌を書き留めることを試みだした。古事記の歌謡や万葉集で用いられた。万葉集で主にみられるため、「万葉仮名」という。一音節を漢字一字に音訳したものと、一部はそのまま日本の言葉を当てはめて書いた。 テキストP23万葉集 八〇三の例を挙げる。
銀母 金母玉母 奈尓世武尓
しろかねも くろがねもたまも なにせむに
「銀」は「しろかね」と、「金」は「くがね」と、日本の言葉で書き、他は一音節を一字にあてている。この一字一音で当てたものは「万葉がな」のうちでも「音かな」とよばれ、九世紀末に生まれるひらがなの元である。漢字は意味を表す表意文字である。日本人は表意文字である漢字を学びながら、その草書体からひらがなという表音文字を作り出したのである。また、漢字の一部を使いカタカナも発明した。 「音かな」を発明したが、全部ひらがなにはならなかった。日本語は、体言は中国語に似ており、語尾が変化しない。用言は活用という語尾の変化がある。また、テ・ヲ・ニ・ハなどの助詞がある。漢文では、活用や助詞の機能は語順により巧妙に表されていた。語尾変化のない、単音節語であった。日本人が漢文を同族に伝えるため、翻訳しようとすれば表意文字の漢字と漢字をつなぐものが必要となる。用言の活用と助詞はどうしてもいる。変化をしない体言や用言の語幹をそのまま使い、読み方だけ日本語で読み、活用や助詞のみ「かな」を付すのが、書くのに字数が少なく便利である。漢文は漢字かな交じりで読まれていったのである。このように、日本人は日本語を表すために漢字に取り付き、漢字を両様に使い分けた。漢字の音のみを取り「ひらがな」発明し、一方では意を取り音を捨てたのである。漢文を翻訳する際、文章を書く際、試行錯誤し、結局は両者を併用するところに落ち着いた。奈良時代の正史『続日本書紀』の「宣命」では今日とほとんど同じような、漢字かな交じり表記の祖型がみられる。 漢文と日本文の大きな違いを挙げ、漢文の特徴を述べる。訓読する際の説明をする。 ①語順 漢文の基本構造は左の五種である。テキスト『古文と漢文』P30・31より引用する。 1 主述関係(A‐B) AがBするという場合、主語Aが先で述語Bが後になる。 2修飾関係(A→B) BがAを修飾する場合、Aが先になりBが後になる。 3並列関係(A+B) AとBが台頭に並ぶ場合である。 4補足構造(A←B) Aの動作や行為が及ぶ事物をBで補う場合、BがAの後に来る。 5認定構造(A×B) Aが否定・可否・当否などの認定を表し、Bがその内容を表す場合、Aが先になりBが後になる。
1、2、3は中国文も日本文も同じであるが、4、5は違う。この語順にする際に漢文に「返り点」を漢字の左下に付して日本文の順に読ませる。一文字入れ替える場合は「レ点」を二文字以上入れ替える場合は「一、二点」を使う。一二点を挟んで使う「上下点」、さらに上位の「甲乙点」などもある。
②用言の活用、助詞がない 中国語は語尾変化のない単音節語である。また、テ・ヲ・ニ・ハに当たる助詞がない。日本語に読む際にはそれらを付す必要がある。漢字の右下に活用、助詞をカタカナで付す。活用は発展し、「送りがな」となった。 日本において、漢文は中国文化を摂取することだけでなく、日本文章表現の基礎を作るものであった。漢文を学び、その漢字からひらがなを発明した。中国語との違いを認識して読むことで、漢字とかなとを使い分け、今日の漢字かな交じり文の原型を作った。これは日本文学を大きく発展させた。漢文を読むことで簡潔な漢文脈を得、また語彙を豊かにしてきた。漢文は、古事記や万葉集など日本文学史を形作った原点であり、国語の原点ともいえるのである。
〈参考資料〉
『古文と漢文 –日中比較文学史‐』 (1986) 神田秀夫 著 武蔵野書院
『漢文法基礎 本当にわかる漢文入門』 (2010) 二条庵主人 加治伸行 著 講談社学術文庫
『コトバンク』「ブリタニカ国際大百科事典」「デジタル大辞泉」https://kotobank.jp/word/漢文-49578 (2018.10.2 16:00ログイン)
『Weblio EDR日中対訳辞書』https://cjjc.weblio.jp/content/漢文 (2018.10.3 17:00ログイン)
終わりに
こちらもかなり引用やテキストをまとめた個所が多いです(;'∀')自分の意見とは分けて書いていると大丈夫です。最後には必ず自分の意見を入れるようにしていました。サイトを参考資料にしても構いません。信頼の高いサイトであるか注意します。ログインの日時を入れました。ちなみに日本漢文入門リポートは手書きで縦書きでした。リポート書式にも注意してくださいね。リポートは参考に数点載せますが、このレポートを載せてほしいとのリクエストはお受けできません。
最後までお読み下さりありがとうございました。以下の関連記事もどうぞ♪
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佛教大学通信教育課程 リポート参考例 学校教育課程論(中・高)
2017年に提出し、B判定で合格したリポートです。合格の目安などの参考にしてください。あまり良くない判定のリポートも、どう良くないかの参考になりますよね。お恥ずかしいですが載せてみました。所見をリポートの後に載せています。A判定に足りないところが分かります。設題、テキスト・参考文献はリポートに入っています。
ほぼ同じ内容にしたり、写して提出されないようにしてください!!佛教大学はリポートの剽窃には厳しい処置を下します。教員を目指す方にとって社会人としても許されない行為です。
Z1114 学校教育課程論(中・高校) リポート
設題1中学校あるいは高等学校のいずれかの教育課程について、その基準と編成原理、今日的課題についてまとめてください。
中学校の教育課程の基準を学習指導要領の歴史的変遷を追いながら述べ、次に編成原理、最後に今日的課題についてまとめていく。用いたテキストの個所を()内に記載する。
わが国はこれまでに大きく3回の教育改革をしてきた。明治の学制発布に始まり、戦後の義務教育制及び民主教育の発足による改革、1998年学習指導要領改訂、受験戦争過熱対策のためのゆとり教育への転換である。経験主義と系統主義、いわゆる「ゆとり教育」と「詰め込み教育」を振り子のように揺れながら転換している。学習指導要領の変遷を視点に、中学校の教育課程の基準をみていく。(第2章第1節)
昭和22年に教育基本法と及び、学校教育法の発布と並行して最初の学習指導要領が制定された。正式名称は『学習指導要領 一般編(試案)』となっていた。あくまで手引書扱いであり、画一的な教育が意図されたものではなかった。教育課程の上でも現場の裁量にゆだねられていたが、一定の基準は設けられていた。中学校の教育課程は10の必修科目と4つの選択科目に分けられた。社会科と自由研究が新設された。社会科は単に修身・歴史・地理を一括化しただけでなく、民主主義的な社会形成のための良識や性格を一人ひとりが身に付けるべく設けられた。この『学習指導要領 一般編(試案)』は極めて短期間に作成されたものであったため、昭和26年に文部省は全面改訂を行った。中学校ではこれ以前に昭和24年に「『新制中学校の教科と時間数』の改正」が出された。体育が保健体育に、国史が日本史に、自由研究が特別教育活動に変更された。昭和26年学習指導要領の改訂ではこの改正の路線を踏まえて教育課程の再編が行われ、小学校では4つの領域に再編されたが、中学校では教科の枠は保持された。必須科目は8つ、選択教科は外国語、職業家庭・その他の教科の3つに分けられた。自由研究はその他の教科と特別教育活動に分類された。その他の教科は生徒の必要に応じ学校が教科を選択した。生徒の自主性を重視する路線は踏襲されていた。
昭和33年の学習指導要領の改訂では、系統主義的要素を取り入れられた。生徒の学力低下により、経験主義的カリキュラムは基礎学力の低下要因とされた。青少年の非行、規律の低下が問題となり対策が求められたことも一因である。また、昭和33年の教育課程審議会答申で、道徳教育・基礎学力・科学技術教育に重点をおく方針を示したことを踏まえられている。最低授業時数が規定され、中学校は一単位時間50分、平均授業日数は35週とされた。学習指導要領は法的拘束力が強化され、「試案」の文字も消滅した。「道徳」が社会科の枠から独立し新設された。社会科は授業時間が減少したが、「地理的分野」「歴史的分野」「政治・経済・社会分野」に分化され、系統学習的カリキュラムとなった。
1960年代、高度経済成長のなか、教育を人的資本のための投資とみなす考え方が生まれた。それを受け、能力主義の徹底化が主張された。この路線が昭和44年の学習指導要領の改訂に大きな影響を与えた。特徴として、「教育内容の現代化」と「調和と統一」があげられた。前者は現代の科学技術の進展に伴い知識量が膨大になったため、教育内容を現代に即して選びなおすことを意味し、理科教育における科学的な考え方や基礎概念の習得が相当する。後者は道徳や社会科における公民的資質の育成が相当する。授業時間の表記が最低授業時数から標準授業時数へ変わり、時間数は175時間増え、大幅増となった。
昭和52年の学習指導要領の改訂では、能力主義による競争助長の反省から、ゆとりある学校生活を目標に掲げられた。授業時間の削減がなされ、数学、理科に関して高度な内容は削除又は高等学校へ移行された。
平成元年の学習指導要領の改訂で、主眼は①心豊かな人間の育成、②自己教育力の育成、③基礎・基本の重視と個性教育の推進、④文化と伝統の尊重と国際理解の推進にある。教育課程自体は前回とほぼ同様であるが、各教科のうち選択教科が拡大されている。生徒の個性や適性を重んじる立場から選択の幅が広げられた。
平成10年の学習指導要領の改訂では、大きな特徴が2つある。一つ目は年間授業時数の縮小と教育内容の削減である。完全学校週5日制が実施され、中学校では各学年年間70単位時間削減された。「教育内容の厳選」も同時に行われ、学力を単なる知識の多寡で捉えるのではなく、自分自身で学び考えることができるかに転換させた。基礎・基本の確実な習得を徹底すべきとされた。もう一つは「総合的な学習の時間」の新設である。各教科、道徳、特別活動に加えられ、4領域となった。総合的な学習の時間は従来の教科の枠を超えて「生きる力」身に付けるための時間として設定され、具体的には「国際理解」「情報」「環境」「福祉・健康」などが想定され児童生徒の関心に基づいて為されている。なお教育課程上、教科ではないため、目標・内容は規定されていない。評価に関しても数値ではなく、所見等と記述するのが適当とされた。
現行の学習指導要領では、2000年より起こる学力低下論争を受け、「総合的な学習の時間」の削減、教科の時数の10%増がなされた。「生きる力」の育成の理念は継続し、バランスを重視した内容となっている。保健体育も増加したこともこれに相応する。言語活動の充実や、武道の必修化がされたことも特筆する内容といえる。
次に教育課程の編成原理について述べる。(第3章第2節)各学校が教育課程を編成する際には、学校教育目標の設定、指導内容の組織及び授業時数の時間配当を基本的な要素として検討しなければならない。原則事項は4つあり、『中学校学習指導要領「第1章総則」』に示されている。1.法令及び学習指導要領の示すところに従うこと、2.生徒の人間として調和のとれた育成を目指すこと、3.地域や学校の実態を考慮すること、4.生徒の心身の発達段階と特性並びに能力・適正・進路などを十分考慮すること。1.に関して詳しく述べる。編成に関する法令は、教育基本法、学校教育法、学校教育法施行規則、学習指導要領、そのた教育委員会における規則などである。学校教育の目的や目標は「教育基本法」「学校教育法」であり、これらを基盤とし、実態に即した教育目標を決める必要がある。学校教育法施行規則は学校の設置や組織、運営、教育課程の編成・標準(授業時数)に関わる法的根拠である。すなわち学校運営組織を編成すると同時に年間指導計画、日課表、教科の授業時数の配当を決定する際には「学校教育法施行規則」と「学習指導要領」の内容理解が重要となる。1の法的根拠におさえ、2、3、4を考慮し編成されるのである。
以上の点に基づいて教育課程は編成されるのであるが、教育課程の編成の主体は校長にある。「学校教育法」第28条に「校長は、公務をつかさどり、所属職員を監督する」と規定している。これは校長が責任者となって教育課程を編成することを意味している。ただ、学校は組織体であるから教育課程の編成作業は全職員の協力の下で行わなければならない。各学校の教育課程は、学校の運営組織を生かし、各職員がそれぞれ分担に応じ研究を重ねるとともに教育課程全体にわたる視野を持ち、創意工夫を加えて編成することが重要となる。
最後に教育課程の今日的課題について述べる。(第1章)日本における教育改革は、国の「政策」として策定された後、「学習指導要領」という形になり「現場」へ反映される。「政策」の多くは首相や文部科学大臣の諮問機関で審議され、決定することが一般的である。トップダウンで出された政策が「現場」降りてくるときに戸惑いが多く、学校現場を混乱させる原因になっている。「総合的な学習の時間」をその例として挙げることができる。十分な準備期間があったにも関わらず、なぜうまく運用されなかったのだろうか。それには2つの問題がある。先ほどのトップダウンで導入したことによる現場と剥離した状態での政策決定であったこと、もう一つは教員自ら率先してカリキュラム開発を行わないことであるだろう。今後、スムーズで効果的な改革実施には、教員が教育集団として「学校に基礎をおくカリキュラム開発」を行い、学校を主体に移した教育開発が必要となる。
<参考文献><第二版>学校教育課程論(2005)原 清治 編著 株式会社 学文社
<参考URL>文部科学省ホームページ幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領改訂のポイントhttp://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2011/03/30/1234773_001.pdf(2017年7月23日18:00ログイン)
先生からの所見を要約すると・・・
教育課程そのものについてはきちんと記述されているが、今日的課題について詳しく論じる必要がある。小学校における外国語活動や中学校における武道やダンスの必修化など、新学習指導要領について言及してほしい。トップダウン方式の短所を論じるとより深い考察となるだろう。
とのことです。設題の把握 の項目は「不十分」テキストの理解 の項目は「十分」になっていました。
終わりに
『日本漢文入門』のリポートでは、文献もインターネットの資料も合わせて「参考資料」として載せました。このリポートでは、「参考文献」「参考URL」と分けています。一貫性がない(;'∀')
どちらでも大丈夫ということです!ちゃんと引用個所や資料が分かれば、細かい体裁は気にしなくてよさそうです。引用ページを書くときもあれば例)テキストP23ページこのリポートのように何章とだけ書いたり例)第2章第一節本当に一貫性がない(;'∀')
このリポートでは、今日的課題を深く論じる必要があるようです。テキストが古い場合、テキスト以外の資料を当たって内容を深める必要があります。
リポートは参考に数点載せますが、このレポートを載せてほしいとのリクエストはお受けできません。
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